舞台から映像まで、第一線で活躍し続ける俳優、天海祐希。12月に開幕するチェーホフ作「桜の園」(ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)では、19世紀末のロシアで時代の波に翻弄(ほんろう)される主人公、ラネーフスカヤ夫人を演じる。
チェーホフに「挑戦」
「私にできるのかな」
プロデューサーから役を打診された時、まず頭に浮かんだのは「?」だった。
120年前にモスクワで初演されて以来、世界各地で上演されてきた作品。
「素晴らしい作品だとは思うのですけれど、難しい、高尚な作品――というようなイメージが、私の中にはあったんです」
「でも、プロデューサーが私に、とおっしゃるということは、勝算があるんだろうなと。挑戦だと思いました」
稽古を重ね、チェーホフが描く人物たちにいとおしさを感じるようになったという天海さん。インタビュー後半では、俳優として第一線で活躍し続ける原動力についてもうかがいました。
物語は、没落貴族のラネーフ…